オリジナルだしの素材について(選べる素材一覧)

明治4年(1871年)、東京卸売市場に創業した尾粂は築地市場で最も長い歴史を誇る水産企業の一社です。

昔ながらの無添加や天日干しの製法にこだわり、旬の時期に採れた高品質な魚を、最適な加工方法で作り上げています。

尾粂がお客様に提供するこだわりの「オリジナルだしの素材」について、1つ1つ詳しくご紹介します。

INDEX

かつお本枯節

かつお本枯節(ほんかれぶし)は、手間ひまかけてかつお節の表面にカビ付けした高級かつお節です。

食品スーパーでよく見かける削られた花かつおの多くは、燻製後に20日程度熟成させた「かつお荒節」で、かつお本枯節は、3から5ヶ月という長い月日をかけて熟成させたものになります。

カビ付けすることで、脂肪分が分解され、魚臭さが消えて上品な風味になるのが特徴です。

カビ付けの階数が多いほど、かつお節の水分が抜けて、より旨味が強くなります。

脂肪分や水分が抜けて枯れた状態にしたことから「枯節」と呼ばれています。

濁りのない澄んだ琥珀色のだしスープは見た目の美しさもお楽しみいただけます。

かつお荒節

最も馴染み深いかつお節がかつお荒節(あらぶし)です。

漁港で荷揚げされたかつおから、頭と内蔵部分を取り除き、煮た後に骨を除いて乾燥させ、約20日間かけて燻製にしたものがかつお荒節です。

表面は燻したことで黒く焦げたような色合いで、食品スーパーなどでよく見かける、薄く削ったかつお節は、花びらのように見えることから「花かつお」と名付けられて販売されています。

かつお本枯節と比較して、香りの強さと魚っぽさが特徴で、味や渋み、酸味などパンチの効いたかつおの味をより強く感じるだしに仕上がります。

香りはかつお本枯節よりも早く抜けてしまうため、お料理で香りを楽しみたいときは、あまり長時間火にかけないことをおすすめします。

宗田かつお節

宗田かつお節は、ソウダカツオ(西日本ではメジカとも呼ばれる)から作られたかつお節です。

一般的なかつお節は、マガツオから作られていますので、同じかつおではありますが、種類の違うかつおから作られたものと理解していただければと思います。

マガツオのかつお節と比較して、深いコクと濃厚な香りが特徴で、麺類や煮物、おでんなどと相性のよいだしです。

深いコクと濃厚な香りの源は、ソウダカツオが、マガツオと比較して魚の中骨に沿って赤黒い身の部分、血合いが多い点にあります。

血合いは、加工前の生の状態では生臭さが強いため、お刺身等で食べることはまずありませんが、この血合い部分も含めて乾燥させ燻すことで、苦味と渋みが生まれ、熟成させることで深いコクと濃厚な香りにつながります。

料理にもう少しインパクトを与えたいと思ったときの、だしの中でもアクセントとして使うと料理の美味しさが増します。

まぐろ節

まぐろ節は、キハダマグロをかつお節のように、煮詰めて乾燥させ、燻して作ったものです。

流通量はあまり多くなく、なかなかお目にかかれない希少なだしです。

かつお節と比較すると、淡白な印象の味で、色味も薄く透明に近いためインパクトは弱いです。

香りも控えめで自己主張の少ないだしですが、ほんのり甘さを感じ、旨味はしっかりとしているため、お料理に旨味を足したいときに役立つだしです。

料理で使う素材の味や風味を活かしつつも、旨味を加えたいといった主役を引き立たせるだしで、高級料亭などでお吸い物のだしとして使われることが多いようです。

さば節

さば節は、ゴマサバやマサバをかつお節のように、煮詰めて乾燥させ、燻して作ったものです。

マサバは油分が多いため、あまり好まれず、流通している多くのさば節はゴマサバを主原料としています。

さば特有の生臭さ、油分の渋みが強くでる傾向があり魚本来の味を楽しむことができます。

コクの強さ、味の濃さ独特な甘みが特徴と言えるでしょう。

一方で香りはあまりしないため、かつお節や煮干しをはじめとするその他のだしと相性がよく、合わせて使われることが多いようです。

味の濃さを活かして、うどんやそばの麺つゆとして使われることも多いようです。

むろあじ節

むろあじ節は、ムロアジをかつお節のように、煮詰めて乾燥させ、燻して作ったものです。

ムロアジは日本の中部地方で良く獲れるため、きしめんや味噌煮込みうどんといった名古屋の名物でだしとして使われることが多いようです。

かつお節やまぐろ節などと比較して、香りや魚臭さは感じず自己主張の弱いだしです。

独特な甘みとコク、まろやかな味わいが特徴です。

さっぱりとした印象でインパクトに欠けることから、単体のだしとして使われることはあまりありません。

宗田かつお節や、さば節などコクと香り、味の濃いだしと合わせて使うことが多いです。

片口煮干し

片口煮干しは、日本で最も馴染みのある魚「カタクチイワシ」を干して乾燥させたものです。

カタクチイワシは、稚魚は「しらす」、少し成長すると「ちりめん」、大きく成長したものが「かたくち」と成長過程で呼び名が代わります。

地域によっては「いりこ」「じゃこ」と呼ばれ「いりこだし」「じゃこ飯」といった名前も馴染み深いのではないでしょうか。

イノシン酸とグルタミン酸が多く含まれる片口煮干しは、旨味成分のインパクトが強く、お味噌汁やうどん、鍋など様々な料理と相性が良いです。

頭と腹わたを取り除き、乾煎りすると苦味や魚臭さが和らぎ、香ばしい香りと深い味わいがお楽しみいただけます。

平子煮干し

平子煮干しは、マイワシの小魚で、体が平たいため平子(ひらこ)と呼ばれています。

カタクチイワシの煮干しよりも魚臭さが少なく、上品な風味をお楽しみいただけます。

あっさり、すっきりとしたクセの無い味わいながらも、煮干しならではの濃いコクが得られるため、麺つゆや、味噌汁、煮物のだしとして使われることが多いです。

カルシウムやDHAなどの栄養素も豊富なため、成長期のお子さんの健康を気遣うご家庭でも人気のだしです。

うるめ煮干し

うるめ煮干しは、大きな目が特徴のウルメイワシを原材料とした煮干しです。

ウルメイワシは、その大きな目がウルウルと潤んだように見えることから名付けられました。

片口煮干しのカタクチイワシや、平子煮干しのマイワシと比べて、ウルメイワシは引き締まった身が特徴的で、見た目の通り脂肪分が少ないため、味のインパクトは弱いものの、あっさりとした、甘くまろやかな味わいのだしが取れます。

味噌汁や鍋料理、煮物など様々なお料理でお使いいただけますが、上品な味わいから、お吸い物のだしとして使われることをおすすめします。

あご煮干し

あご煮干しの「あご」は、飛び魚(トビウオ)の別名です。

トビウオは、亜熱帯から温帯の海域に多く生息しているため、九州から中国地方の日本海側で数多く水揚げされます。

「あご」の名前の由来は、諸説ありますが「あごが落ちるほど美味しいから」とのことで、海の水面を華麗に飛ぶ、豊富な運動量から作り出された引き締まった身は、脂肪分が少なく、魚臭さもあまり感じないことから、すっきりとした旨味、ほのかな甘味のある上品な味わいのだしが取れます。

薄い味付けにしたいお吸い物や、そばやうどんなどの麺類と相性が良いようです。

焼きあご

焼きあごは、文字通り「あご」を煮て干したものではなく、炭火で焼いた「焼干し」です。

長崎県の平戸近海で獲れたあごの、ウロコを剥がし、腹わたを取り出してきれいに洗い流したあと串焼きにします。

あご(トビウオ)は、海の水面を飛び回る豊富な運動量から、身が引き締まり脂肪分が少なく、魚臭さもあまり感じません。

すっきりとした旨味と、ほのかな甘味が特徴のあごを、焼くことで旨味がぎゅっと凝縮され、炭火ならではの香ばしさが加わります。

焼きあごは、水に浸して一晩置くと、旨味成分が溶け出して水が黄金色に変わります。

その後火にかけ煮出すと上品でほのかな甘さのなかに、香ばしさも感じる贅沢なだしが生まれます。

あじ煮干し

あじ煮干しは、文字通りアジの煮干しです。

鮮魚として食品スーパーや料理店に行くアジや、干物になるアジのように身の大きいものではなく、小ぶりなアジ(小アジ)を煮干して加工したものがあじ煮干しです。

小アジは、頭や腹わたが少なく、苦味や魚臭さが少ないのが特徴です。

料理の際に、頭や腹わたを取るといった加工はせず、そのままお使いいただいても、すっきりとした甘みのある上品なだしが取れます。

味噌汁やラーメン、うどんなど麺類のスープと相性の良いだしです。

軽い味わいから、他にもだし巻き卵や、お吸い物、煮物などでも美味しくいただけます。

エソ煮干し

えそ煮干しは、高級かまぼこや練り物の原材料として使われることの多い「エソ」という魚を煮干して加工したものです。

エソは、小魚や甲殻類を捕食する魚で鋭い歯と、小骨の多さが特徴的です。

小骨の多さから一般家庭の料理として使われることはまずなく、加工に手間がかかるため、かまぼこの原材料になるのがほとんどです。

多くが加工業者に買い占められてしまうため煮干しの原材料としての流通量は少なく、希少なだしです。

白身魚ならではの上品な味わいに加えて、濃厚な旨味があり、コクと甘みも強いです。

味噌汁やうどん、そばの麺つゆ、ラーメンや煮物のだしとして美味しくいただけます。

かます煮干し

かます煮干しは、カマスの煮干しです。

カマスは、南日本海から南シナ海に多く生息し、口の先が尖っていて、鋭い歯でイワシなど他の魚を捕食します。

身は白身で淡白な味わいですが、水っぽさがあるためお刺身として食べられることはほとんどありません。

一般的には干物や塩焼き、唐揚げといった料理になることが多いです。

片口煮干しをはじめ、多くの煮干しは苦味や渋み、エグミがあるものも多いのですが、カマス煮干しはスッキリとした味わいで澄んだ色味が特徴的です。

お吸い物やおでんなど、だしの味が、料理の味を左右する際のだしや、醤油と相性が抜群に良いです。

のどぐろ煮干し

のどぐろ煮干しは、高級魚のどぐろを煮干して加工したものです。

のどぐろの正式名称はアカムツ。

赤い身体が特徴の魚ですが、口を開けるとノドの奥が黒いことからのどぐろと呼ばれています。

近年、テレビ番組でも取り上げられることが多く、漁獲量に対して全国的な知名度の高さから品薄状態となり、超高級魚となりました。

脂のたっぷりのった旨味の強い白身魚で塩焼きや煮付けがおすすめですが、のどぐろ煮干しは、乾煎りしたり、グリルで焼き目をつけたりすると、脂肪分からでる魚臭さが抑えられ、高級魚ならではの上品な味わいと甘みが際立つだしに仕上がります。

とにかく流通量が極めて少ない材料ですので、見つけた際はこの希少なだしを見逃すことなくぜひお試しください。

利尻昆布

日本の最北端、北海道稚内の沖合にある利尻島。

流氷が流れ着く極寒の海で育った利尻昆布(りしりこんぶ)は、真昆布や羅臼昆布と並び、最高級昆布の代名詞となっています。

厳しい自然環境に鍛えられた利尻昆布は、他の昆布と比べコシが強く旨味成分を多く含んでいます。

黒みがかった濃い褐色の利尻昆布から取れるだしは、香りが強く澄んだ色合いで、ほのかな塩味を感じる上品な味わいが特徴的です。

かつおだしが中心の東日本に対し、西日本はうどんやおでんなどのだしとして、昆布だしが馴染み深いかと思いますが、実はかつおだしの風味とうまく調和することができ相性は抜群、合わせて使用すると料理のコクと旨味が増して美味しい料理に仕上がります。

真昆布

真昆布(まこんぶ)は、北海道の函館沿岸を産地とする昆布で、厚みがあって幅が広い、利尻昆布や羅臼昆布と並ぶ高級昆布です。

芳醇な香りと、上品な甘み、しっかりとコクの強さなどが味の特徴で、透明度が高い上品な風味のだしが取れます。

自己主張の弱い昆布だしは、薄味が好まれる京都を中心とした関西圏の料理でよく利用されますが、かつおだしとの相性が良く、合わせだしにするのも向いています。

湯豆腐や水炊きなどの鍋料理のだしとしても美味しくいただけます。

真昆布は、だしだけでなく、佃煮やとろろこんぶなど馴染み深い昆布食材としてもよく使われます。

日高昆布

日高昆布(ひだかこんぶ)は、北海道の南側、競走馬の産地として知られる日高三石地区で穫れる昆布で別名三石昆布とも呼ばれています。

日高昆布は黒みを帯びた濃厚な緑色をしていて、利尻昆布や羅臼昆布と異なり平らに整形されることなく、凸凹した表面で出荷されることが多いようです。

繊維質が少なく柔らかい身が特徴で、型が崩れにくいこともあり、だしとしてではなく、昆布巻きや佃煮など煮て食べる食材としても多く流通しています。

煮出した日高昆布からは、他の昆布と比べて黄色味の強いスープが取れます。

昆布らしい磯の香りと、濃い風味を楽しむことができます。

羅臼昆布

羅臼昆布(らうすこんぶ)は、北海道の東側、北方四島に近い知床半島の沿岸で穫れる昆布です。

利尻昆布や真昆布と共に高級昆布として位置づけられますが、漁獲範囲が狭いため、さらに希少性の高い昆布となっています。

昆布の幅が広く、葉の長さは1.5~3mほど、茶褐色をしていて、昆布だしの中では最も香りが豊か、濃厚な味わいが特徴です。

煮出しただしスープは、色味の薄い上品な印象ですが、昆布の王様とも呼ばれる羅臼昆布は、昆布だしの中で、最も濃厚なだしが出ます。

麺類、とりわけラーメンのだしとしてや、お味噌汁など汁物との相性が抜群です。

プロの料理人が好んで使用し、贈答用としても評判の羅臼昆布をどうぞお楽しみください。

どんこ椎茸

どんこ椎茸の「どんこ」は、椎茸の品種ではなく、乾燥椎茸を表す言葉です。

では、「干し椎茸」との違いはと言うと、傘の開き具合が7割以下の椎茸を採取し乾燥させることで、丸く肉厚な点が大きな違いです。

どんこと干し椎茸とで、味の違いはそれほどありませんが、食べた際の食感が他の椎茸と比べて肉厚のため、弾力を感じる噛みごたえのある食感が特徴です。

厚みのあるどんこ椎茸は、他の椎茸と比べて煮汁の吸収量も多く、口に入れ噛んだ際に染み出すジューシーな汁感や、濃厚な味わいが楽しめます。

どんこは漢字で「冬子」とも書き、文字通り冬の短い季節でしか穫れません。

そのため一般的には、他の干し椎茸と比較して希少性が高く、価格も高めになっています。

香信椎茸

香信椎茸(こうしんしいたけ)の「香信」は、椎茸の品種ではなく、乾燥椎茸の見た目を表す言葉です。

傘が開き、傘の内側のヒダ立ちが美しいものを「香信」といいます。

一般的に流通している椎茸や干し椎茸は、その多くが香信椎茸です。

希少性から価格はどんこ椎茸に譲りますが、旨味成分のグアニル酸の素となる成分は、傘の内側にあるヒダから出るため、より旨味の強いだしが作れるという点で、香信椎茸はコストパフォーマンスに優れています。

椎茸らしい味わいを楽しめると同時に、他の食材の味わいを引き立てる役としても最適なため、ちらし寿司や五目ご飯の具としても最適です。

ほたて貝柱

ほたて貝柱は、ほたての殻を開けた際にある身の中で、中心部にある最も大きい器官です。

通常、二枚貝は貝柱が2箇所あります。

あさりや、しじみの味噌汁などを召し上がる際、貝の殻にこびりついている小さな貝柱を見ることがあると思います。

大きく成長したほたてには、1つしかありません。

国産のほたて貝柱は、北海道の沿岸を流れる親潮が運ぶ良質なプランクトンを食して育ち、北国の厳しい荒波を生き抜くため、大ぶりで身もしっかり肉厚なものが多いです。

だしに使うほたて貝柱は、乾燥を繰り返し、水分が抜けるとともに旨味成分が凝縮されていきます。

主にグルタミン酸ですが、イノシン酸やタウリン、カリウム、マグネシウムなどの栄養も豊富で、和洋中あらゆる料理のだしとして使われています。

鶏節

鶏節(とりぶし)というだしをご存知でしょうか。

○○節としえばかつお節が一般的ですが、かつおではなく、その名の通り鶏肉を乾燥させて燻製にした、いま食品業界で注目される歴史の浅い、新しい旨味のもとが鶏節です。

削り節は、ふわふわと花びらのようになり、かつお節と見た目は似ています。

ですが、かつお節とは異なり、あっさりとした、まろやかな風味のなかに、動物性ならではの濃厚な味わいが特徴的です。

鶏肉がもっているイノシン酸、グルタミン酸が豊富で良い旨味が出るため、幅広い料理で注目されています。

比内地鶏のきりたんぽ鍋や、鶏めし(炊き込みごはん)とは特に相性が良いです。

するめ

するめは、イカの内臓を取り除き、天日干しや、室内で火を焚くなどして温度を上げて乾燥させたイカの干物です。

食材として傷みにくく、長期の保存が効くため保存食としては歴史が古く、平安時代には縁起物「寿留女」として朝廷に献上された記録も残っています。

現代では、お酒のつまみとして、焼いて食べるのが一般的でしょうか。

するめはを煮出しすると、香ばしさと魚介の味が濃厚なだしスープが取れます。

だしを取ったあとのスルメは料理としても利用できて、一石二鳥の食材と言えます。

昆布だしとの相性が特に良く、九州福岡県の一部の地域では、お雑煮のだしとしてよく使われます。